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2020年3月

2020/03/29

佐々木悠、小野塚彩那、2年目の挑戦

FREERIDE WORLD TOUR(FWT)参戦レポート

FWTは、1996年にスイスで始まった世界最大、唯一無二のフリーライドツアー。
2020シーズンは、日本の白馬を開幕戦とし、カナダ、アンドラ、オーストリアの4戦の累積ポイントで順位を競い、その上位選手だけが最終戦のスイスステージへ駒を進めることができるシリーズ戦です。
3大陸5カ国を股にかけ、世界の名だたる山脈を舞台に繰り広げられる勇壮なスケール感と圧倒的なパフォーマンスが、まさに世界最大のフリーライドツアーなのです。

このFWTへの参戦が許されるのは、スキー・スノーボードの男女合わせてたったの50名。
世界各国で開催される4つのグレードに区分された予選的位置付け大会「FWQ」でのポイント獲得がFWTへのワイルドカードにつながります。今では、4,000名を超えるスキーヤーが、FWTへの参戦を狙って世界各国のFWQに参戦するほど、FWTは大規模なカテゴリーに成長しています。

また、ジュニアライダーが参戦できるカテゴリーがきちんと確立されているのも大きな特徴で、世界中で2,000名を超えるジュニアライダーがパフォーマンスを披露する場が提供されています。
国内では、FWTを開催する白馬の他、舞子スノーリゾート(新潟)、安比高原(岩手)、キロロスノーリゾート(北海道)、ロッテアライリゾート(新潟)、白馬五竜(長野)でFWQやジュニア大会が開催されています。

詳しくは、FWT JAPAN TOURのページで確認できます

https://freerideworldtour.jp/

Inside_1

JAPANオフィシャルWEBサイトには、FWTの醍醐味がこう書かれています。

決まっているのはスタートゴールだけ。

ライダーは地形と雪質を読み、頭に描いたラインにDrop Inする。

自然のままの地形を滑り、そのテクニックやスタイルを競う”フリーライド”の世界一を決めるツアー。

舞台となる映像を目にし、この文字を読むだけでワクワクするようなツアーだというのが心に刺さります。スキーのカテゴリー関係なく、自然相手に今まで培った技術と経験を魅せる。
FWTは、まさに世界最高峰のフリーライドの祭典なのです。

Inside_2

この世界最高峰の戦いFWTに参戦しているのが、ATOMICライダーの佐々木悠と小野塚彩那の2名です。この舞台に日本人が2名も参戦できていること、そしてその2名ともATOMICのライダーであることは、私たちにとって非常に誇らしいことです。

ここからは、2人の直接的な言葉を引用しながら、今年のFWTを振り返っていきます。

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佐々木悠

大会を終えて完全燃焼。ただいま抜け殻状態でゆっくりしています。

自分的には今大会の結果には満足しているし、悔いはありません。

小野塚彩那

FWTを通して、私自身のスキーライフやスキー技術にも大きな変化をもたらせてくれています。

本当に素晴らしい経験をさせて頂いていることにいつも感謝しています。

これが、シリーズ戦を終了した2人の率直な言葉でした。

佐々木悠は全体を振り返ってこう話してくれました。
去年はFWTの経験もなくただ行ってきたという感じでしたが、今年は春から準備する期間もあり余裕を持って大会に望めました。
各大会1週間の期間の中でコンディションの良い日にやるのが絶対条件。
いつも突然開催日が決まるので心の余裕がないと予定に振り回されて相当疲れます。
アンドラ戦では大会当日の朝、降雪不足でキャンセルになった事もありました。
どんな条件でも対応できる安定したメンタルがこの大会では肝だと思います。
ビブドローに関してもくじ引きなので、滑る順番によってラインを選ぶ。
出走順が早ければ思い切っていけるし、遅ければ変わりゆく天気、雪の状況を読んでベストのラインを選びます。
大会斜面の地形全てを頭に叩き込んで置くのが準備段階で一番大事ですね。
地形の詳細を経験豊富なライダー達とのコミュニケーションを通じて教えてもらうのもこの大会の面白い所だと感じました。
皆で大会斜面の情報を共有してライン取りを組み立てていく。
大会当日はもちろん皆勝ちたいし燃え上がるけど、皆のラン一つ一つに全員が湧く。
プッシュして滑っているのが伝わるから、お互いリスペクトしあい一つの輪で大会が形成さらていくのを感じました。
自分は常に大会斜面の1番大きな所を飛んでギャラリーを沸かす。
スキル不足でスコアには結びつかなかったけど、価値のある滑りは各大会で残せたと思います。
表彰台に上がるのは本当に紙一重なんだと思う。出てるライダー全員にチャンスがある。
35歳を超えたベテランライダーも優勝するし、21歳のルーキーも勝つ。
スキー競技でこれだけ幅の広い層で戦えるのはフリーライドならではないのでしょうか?
自分も今年で34。十分戦ったと思いながらも、今は試合も終わって何も考えられませんが、また次の目標に向かっていくと思います!
ありがとうございました!

小野塚は1戦1戦をこう振り返ってくれました

私はフルツアー参戦のワイルドカードは持っていなかったので、白馬FWQでの優勝が最低条件と思っていました。白馬FWQで優勝して白馬FWTへのワイルドカードを獲得。5位という成績に満足はしていませんでしたが、昨シーズンからのベストリザルトを更新し、正式に残り3戦のワイルドカードを獲得することができました。
今年はこのツアー参戦に戻ることを第一目標としていたので、まずは第一関門突破といった感じです。

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2戦目カナダキッキングホース(2月7日)

序盤の大きな失敗が響いてしまい結果は8位でしたが、狙い通りのラインで滑り降りてくることができました。
最後のクリフジャンプも昨年は転倒していた箇所なので、着地をうまく決めることができたのはよかった。

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3戦目アンドラ(3月3日)

結果的には転倒してしまい、板が外れてノースコアとなってしまいましたが、最終戦のベルビエ大会に出たいという気持ちで、トリックを入れたランに初めて挑戦しました。
これは、昨年から転戦している中で初めての試みです。
結果は結果ですが、周りからの評価も含め、自分の中では大きなステップになったステージでした。

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4戦目オーストリアフィーバーブルン(3月8日)

ここで総合ランキング8位が決定し、最終戦のベルビエに進出する6名に入ることができずシリーズ終了が決まりました。
もう少しで表彰台に手が届く4位というリザルトだっただけに、最終戦に出場できないのは非常に残念ですが、さらなる技術向上を目指してこれからも精進していきます!

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最終戦のベルビエ大会に参戦できるのは、男子スキー部門は23人中13名、女子スキー部門は10人中6名という中で、佐々木悠が17th、小野塚彩那が8thという総合順位で、ベルビエ最終戦への切符を手にすることなく、オースリアステージが最終戦となりました。

生で佐々木の滑りを見た人は感じると思いますが、その国内では群を抜いたような圧倒的なパフォーマンスを魅せる佐々木悠。
レース、技術のカテゴリーでも活躍し、ハーフパイプの世界チャンピオンにまで上り詰めた小野塚彩那。
この2人を持ってしても、上位に進出することが難しい世界。本当に凄い舞台で戦っていることがわかります。

2人が口を揃えて言うように、ここでは、スキー技術だけでなく、心と身体のマッチングが結果を大きく左右するのでしょう。

以前小野塚は自身のSNSでこんな投稿をしています。

私がアルペン、基礎、ハーフパイプとやってきて全ての要素が詰まっているのがこのフリーライドだと思っています。今、ジュニアの基礎スキーヤーが増えているようですが、みんな、確かに大人顔負けに上手い。決して悪い事ではないし否定もしません。むしろ素晴らしい事です。その文化が出来上がったのも先人の努力のおかげと思っています。
だけど、皆若いのに技術戦の為の滑りしかできなくなっちゃうのが心配です。
技術戦だけやっていても一生ターンスピード上がらない。もっと色んなスキーしようよ。楽しいぞ!
アルペンも一応国内レベルでそれなりに頑張ってたし、技術戦やってた私が言うのもなんですが、真剣にやっていたし、優勝争いするポジションに居たからわかる。
ハーフパイプでも3回世界チャンピオンになったし。(Dew Tourも入れたら4回。)
そんな私が最後に行き着いたのが、スキーの全部の要素があるフリーライド。
若い世代の人たちは、もっと色んな事をやって視野を広げて欲しい。
日本だけじゃなくて、世界で活躍できるチャンスが意外にもすぐ目の前にあるかもしれない。
ジュニアカテゴリーもあるので、ジュニアの皆さんも是非チャレンジして欲しい。
フリーライド競技がもっと日本に浸透していきますように!

小野塚彩那

フリーライド界を牽引する2人の気持ちが、これからの日本のスキー界発展に繋がることを願ってFWTレポートとします。
その他、お二人の参戦の様子をこちらのyoutubeチャンネルから見ることができます。
更新率も高いので、ぜひご覧になってみてください。

Freeride Adventure Yu Sasaki

▼FWT参戦中の使用SPECK

佐々木悠:SKI Backland117 186cm / Bin STH16 / Position Recommend

小野塚彩那:SKI Bentchetler120 184cm / STH16 / position -1.5

滝沢武士

2020/03/22

「ワールドカップにいがた湯沢苗場大会」レポート

4年ぶりの国内開催となったワールドカップにいがた湯沢苗場大会。
残念ながら2日目のSL競技は悪天候キャンセルとなってしまいましたが、普段画面を通してしか見ることのできない世界topランカーたちは、「生」でこそ伝えられる本物の滑りと、日本人スキーヤーが興奮できるホットな時間を沢山提供してくれました。

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#1 近い距離感を演出してくれた BIB DRAW PARTY

ワールドカップの醍醐味は、レースだけではありません。
前日に開催されるトップシード選手のスタート順を決めるBIB DRAWは、最も選手を身近に感じることのできる時間。
この苗場大会では、前回大会からグレードアップした初の試みとして、トップシード選手のビブドローに加え、日本人選手のトークショーやアーテイストLIVEが行われたBIB DRAW PARTYが開催され、大勢のスキーヤーで会場は埋め尽くされました。

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そして、「世界から沢山の選手たちが訪れている機会だからこそもっと多くの選手との触れ合いを!」という目的で、メーカー合同企画によるシード外選手トークショーも開催させていただきました。

選手たちは、私たちが普段画面を通して感じとる、張り詰めた空気感の中で戦う表情とは少し違った柔らかい表情で、気さくにサインへ応じてくれました。選手たちと直接的に触れ合えたこの時間は、ワールドカップファンにとってかけがえのない貴重な時間になったのではないでしょうか。

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#2 ソフトな難しい条件で勝てたATOMICの強さ

運営スタッフの努力により完璧に仕上げられたバーンも、春の陽気を伺わせるほどの気温上昇では流石に「緩み」の部分は否めず、ヨーロッパの環境とは少し異なるこの雪面状況に全ての選手が難しさを感じていたことは言うまでもありません。

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そんな中、2本目に見事12位から逆転で優勝を飾ったのはATOMICを使用するクロアチアのフィリップ・ズブチッチ選手でした。ゴール前の斜面に飛び込んできた時のスピード感はそれまでに滑った選手とは明らかに違う雰囲気で、「これは来る!」と見ている誰もが興奮する圧巻の滑りでした。

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27歳伸び盛りのズブチッチ選手にとって、記念すべき自身初となるワールドカップ優勝をこの日本で飾ることができたことは本人にとっても非常に印象深いものになったことは間違いないと思いますし、苗場での優勝をきっかけに、次戦のHinterstoder (AUT)GS競技でも2位表彰台に上がっており、今シーズン一気にランキングをあげたATOMICの成長株です。いよいよ種目別優勝が狙える位置まで来ました。期待しましょう!

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ズブチッチ選手の他、W-CUP総合トップランカーとして当大会を迎えたアレキサンダー・オーモット・キルデ(NOR)選手が6th、マルコ・シュバルツ(AUT)選手が13th、ルーカス・ブローテン選手(NOR)が16th、マニュエル・フェラー(AUT)選手が21th、エリック・リード(CAN)選手が22thと、6名のATOMICアスリート選手がポイントを獲得しました。

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このソフトなコンディションでも強さを発揮してくれたSERVOTEC機能とREDSTERは、ATOMICユーザーにとっても「選んで良かった」と思わせてくれるような結果だったと感じています。

そして、NEW REDSTER SKIに搭載される新しい粘着素材ダブルボンディングシステムは、どんな雪質コンディションでも、しなやかで、且つキレ味のあるターンを描けることを実証してくれました。今後、日本という環境でも確実にその効果を発揮してくれると私たちは自信を持っています。

#3 加藤聖五選手の飛躍

「日本人と世界との距離」を痛感させられた苗場大会でしたが、日本人唯一の2本目クオリファイに近づいたのが加藤選手でした。

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1分20秒というこの世界屈指の長くタフなコース条件で、30thとの差はわずか0.61。
W-CUP前の韓国FEC(ファーイーストカップ)で、GS種目3戦連続表彰台、FISポイント17点台を獲得し、この大会にしっかりと調子を合わせてきた加藤選手。決して「まだまだだな」といった印象ではなく、見ている誰もが、「次は絶対に来る!」そう思わせてくれるような滑りでした。
来シーズン、このW-CUPの舞台でバシバシ上位に食い込む加藤選手に期待しましょう!

#4 次世代へ繫げていくATOMICのNEXT HERO PROJECT

私たちATOMICスタッフと一緒にW-CUPを間近で観戦し、沢山の刺激を心に刻んだのがNext Hero Projectで活動するユース世代の選手達です。

レースを観戦するだけでなく、選手や本社レースディレクターと触れ合う場面を設けたり、チューンナップルームにお邪魔したりと、将来自分たちがそこに立ち、本気で戦う舞台であることを現実的に味わってもらうための「本物」を体感させました。

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W-CUP翌日、舞台となった苗場のコースを果敢にフリートレーニングする未来戦士の姿からは、気持ちの部分も含めた「変化」が伝わってきました。
決して遠くない将来、次の世代が世界で活躍できるよう、引き続きバックアップしていきます。

SL競技のキャンセルに加え、小雪、コロナウィルスの影響による各種大会・キャンプの中止と、スキー業界にとってはあまり嬉しくないニュースが続いておりますが、みんなで団結してもう一度業界を盛り上げる機会をいただいたと私たちは感じています。
細心の注意を払いながら、これからでもできることをATOMICは計画、実行していきます。

ほとんどのスキーヤーの方々が滑る機会を減らしてしまっていることと思います。スキーファン、ATOMICファンの方々のためにも、春のALL STAR CAMPはなんとしてでも開催する方向で進めていますので、ぜひシーズンの締めくくりとして、このキャンプに参加してみませんか?
W-CUP苗場で勝利を掴み取ったNEW REDSTER。RACE、DEMO、FREERIDEと沢山のゲストとTEST スキーを揃えて皆さんをお待ちしております!

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ALL STAR CAMPのエントリーはこちらから

https://www.atomicsnow.jp/ski/event/Entry/atomic-ski-event/3249.html

滝沢武士